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HIV:PD-1+および濾胞ヘルパーT細胞は、治療後で血中にウイルスが検出されない患者で見られる持続的HIV-1転写の原因である

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4113

長期にわたって抑制性抗レトロウイルス療法(ART)を受けた後にもHIVが存在するという事態の原因となる機序は、部分的にしか解明されていない。リンパ節(LN)内の胚中心(GC)がHIV-1複製の主要部位となっていることはよく知られているが、HIV-1の持続生存性を調べた研究のほとんどは、血液を用いて行われている。我々は、複製能を持ち感染性のHIV-1産生の原因となる部位であるLNと血液に存在する記憶CD4 T細胞集団の性質を明らかにすることを試みた。これらの部位は、長期間(1.5年から14年間)にわたってART療法を受け、血液中にウイルスが検出されない(HIV RNAコピー数がmlあたり50以下)HIV感染患者での活発で持続的なウイルス転写が起こる場所とされている。我々は、PDCD1(programmed cell death 1、別名PD-1)を発現するLN CD4 T細胞(細胞表面受容体CXCR5とPD-1の発現によって見分けられる濾胞ヘルパーT細胞の約65%を占める)が、複製能を持つHIV-1および感染性ウイルスの主要な産生源であって、血液中の他の集団(CXCR5PD-1およびCXCR5+PD-1)、もしくはLN中の記憶CD4 T細胞集団よりも重要であることを見いだした。LN PD-1+細胞は、誘導型の複製可能ウイルスを含む記憶CD4 T細胞のプール全体の46%、感染性ウイルスを含む記憶CD4 T細胞のプール全体の96%を占めた。長期間(最長で12年)ARTを受けた後のLN PD-1+細胞には、細胞付着HIV-1 RNAが他の記憶CD4 T細胞亜集団よりも高レベルで存在していたことは注目すべきである。これらの結果は、血液およびLNでは、LN PD-1+細胞が、複製可能で感染性のHIV-1産生や、長期ART治療を受け血中にウイルスが見られない患者で活発な持続性ウイルス転写を引き起こす主要なCD4 T細胞分画であることを示している。従ってこの細胞は、HIV-1感染の機能的治癒の達成に対する重要な障害であると考えられる。

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