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マラリア:PfSPZワクチン接種後1年の時点でのマラリア防御と免疫相関要因

Nature Medicine 22, 6 doi: 10.1038/nm.4110

弱毒化熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum:Pf)スポロゾイト(SPZ)を用いたPfSPZワクチンは、ワクチン接種後3週目の時点で行われた監視下でのヒト・マラリア感染(controlled human malaria infection:CHMI)試験で高い防御効果を示したが、防御の持続性については分かっていない。今回、マラリア未感染の成人でワクチンの投与量、投与計画、投与ルートが持続的防御にどのような影響を及ぼすかについて評価を行った。2.7×105 PfSPZで4回のワクチン経静脈投与を受けた被験者は、ワクチン接種後21週目に行ったCHMIでは、11人中6人(55%)が寄生虫血症を発症しなかった。この投与量群で寄生虫血症の見られなかった5人について59週目に再度CHMIを行ったが、全ての被験者が寄生虫血症を発症しなかった。血清中のPf特異的抗体レベルは、ワクチン接種後21週から25週までは防御と相関したが、抗体レベルは59週までに大幅に低下した。また、血液中のPf特異的T細胞応答も59週目までに低下した。血液中のT細胞応答が肝臓での応答を反映しているかどうかを決定するために、非ヒト霊長類にPfSPZワクチンを接種した。Pf特異的インターフェロンγ産生CD8 T細胞は肝臓中では血液のほぼ100倍の頻度で存在していた。我々の知見は、PfSPZワクチンが、長寿命の組織常在性T細胞を介してマラリアに対する持続的防御をもたらすこと、また、もっと高用量の投与が防御をさらに強化する可能性を示唆している。

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