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神経変性疾患:好中球はLFA-1インテグリンを介してアルツハイマー病に似た病態と認知機能低下を促進する

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3913

炎症はアルツハイマー病の病理学的特徴であり、自然免疫細胞が病因に関与することが示されている。アルツハイマー病の2つのトランスジェニックモデル(5×FADマウスと3×Tg-ADマウス)では、好中球が血管外に遊出してアミロイドβ(Aβ)沈着領域に到達し、そこで好中球細胞外トラップ(NET)とIL-17を放出した。Aβ42ペプチドは、LFA-1インテグリンの高親和性状態と好中球のインテグリンリガンドへの速やかな接着を引き起こした。in vivoでは、LFA-1インテグリンが好中球の血管外遊出とCNSへの移動および脳実質内での運動を制御した。アルツハイマー病のトランスジェニックモデルでは、好中球の枯渇、あるいはLFA-1機能遮断による好中球輸送の阻害は、すでに認知機能不全を示しているマウスでアルツハイマー病様の神経病態を軽減し、記憶を改善した。疾患早期に1カ月間にわたって好中球を一過的に枯渇させると、記憶が持続的に改善した。LFA-1を欠くトランスジェニックアルツハイマー病モデルマウスは認知機能低下が起こりにくくなり、グリオーシスが軽減した。アルツハイマー病患者では好中球が脳細静脈内に接着して広がり、NETと共に脳実質に存在することが分かった。我々の結果は、好中球がアルツハイマー病の病因と認知機能障害に関わっていることを実証し、好中球輸送の阻害がアルツハイマー病に有益となる可能性を示唆している。

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