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肺疾患:BMP9による内皮BMPR-IIの選択的増強は肺動脈性高血圧を改善する

Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3877

遺伝学的証拠から、内皮での骨形成タンパク質2型受容体(BMPR-II)を介するシグナル伝達の消失は、肺動脈性高血圧(PAH)の開始因子であると考えられている。しかし、このシグナル伝達経路を選択的に標的として、BMPリガンドを用いる治療戦略はまだ試みられていない。今回我々は、BMPR-IIをコードする遺伝子BMPR2に変異を持つPAH患者からの肺動脈内皮細胞および血管内皮前駆細胞の両方で、BMP9がアポトーシス阻止と内皮細胞単層の完全性を増強する望ましいリガンドであることを突き止めた。ヒトBMPR2の変異であるR899Xをノックインしたヘテロ接合性対立遺伝子を持つマウスは、BMPR-II欠失により引き起こされるPAHの動物モデルとして作製されたものだが、自発的にPAHを発症した。このようなマウスでの確立したPAH、またモノクロタリンあるいはVEGF受容体阻害と慢性低酸素の組み合わせに応じてPAHを発症する他の2つの実験的PAHモデルで、BMP9の投与はPAHを改善した。以上の結果は、内皮でのBMPシグナル伝達の直接的増強がPAHの新たな治療戦略となる可能性を明らかにしている。

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