Review

再生医学:幹細胞の老化 — その機構、調節因子と治療機会について

Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3651

老化した組織では恒常性維持能力や再生能力が漸進的に低下していくが、これは組織特異的な幹細胞や幹細胞ニッチ、幹細胞活性を調節する全身性シグナルに退行性の変化が起こるためだと考えられている。幹細胞機能のこうした加齢依存的な劣化に関わる分子経路の解明は、老化という疾患の新たな治療法を開発するのに非常に重要であろう。こうした治療では、老化に関連した機能低下の特異的原因が標的となる。今回我々は、組織や幹細胞が老化し変性するにつれて、撹乱されることが多い重要な分子経路について検討する。また、このような経路自体の調整が老化表現型を回復に向かわせるとする考え方を裏付ける証拠、あるいはそうした考え方に反論するような実験的証拠の両方について検討を行う。さらに、幹細胞の老化は、書き込まれたら消去できないエピジェネティックな「記憶」を確立するのか、それともそうした記憶はリセット可能なのかという問題についても考察する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度