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神経変性疾患:PDK1はTACEが仲介するα-セクレターゼ活性を低下させ、プリオン病およびアルツハイマー病の進行を促進する

Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3302

α-セクレターゼによるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断は、神経毒性のあるアミロイドβ(Aβ)の形成を妨げ、α-セクレターゼによる細胞性プリオンタンパク質(PrPC)の切断は、誤って折りたたまれた病原性プリオンタンパク質(PrPSc)への変換を防止する。アルツハイマー病やプリオン病でα-セクレターゼ活性の低下を引き起こす機構は解明されていない。今回我々は、PrPScが感染したニューロン、あるいはアミロイド病変を示すAPPトランスジェニックマウスから単離したニューロンの表面では、TACE(tumor necrosis factor-α–converting enzyme)が仲介するα-セクレターゼ活性が障害されていることを示す。PDK1(3-phosphoinositide-dependent kinase-1)活性は、プリオン感染したニューロンやAβ沈着の影響が見られるニューロン、またアルツハイマー病患者の脳で上昇している。PDK1は、TACEのリン酸化とカベオリン1を介した取り込みを誘導する。TACEのこのような調節異常は、PrPScおよびAβの蓄積を増加させ、TNF-α受容体1型(TNFR1)の切断・放出を減少させる。PDK1の阻害は、TACEの細胞膜局在を促進し、TACE依存性のα-セクレターゼ活性、APPやPrPCおよびTNFR1の切断を復活させ、PrPScおよびAβがもたらす神経毒性を低下させる。マウスでは、PDK1の阻害、あるいはsiRNAによるサイレンシングが、PrPSc感染後の生存期間を延長し、運動障害を軽くし、またAPPトランスジェニックマウスでは、アルツハイマー病様の病状や記憶障害を軽減する。

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