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がん:p300の阻害はFoxp3+制御性T細胞の機能を障害し抗腫瘍免疫を促進する

Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3286

Forkhead box P3(Foxp3)+制御性T(Treg)細胞は免疫恒常性を維持し、自己免疫を制限するが、さまざまなタイプの腫瘍に対する宿主免疫応答を抑えることもある。したがって、Foxp3+ Treg細胞は抗腫瘍免疫を増強するための標的として有望だと考えられており、治療のためにこの細胞の数を調整する方法が開発されつつある。しかし、Foxp3+ Treg細胞の実験的除去が抗腫瘍応答を増強できることを示した研究がこのような考え方の原理証明となってはいるものの、こうした研究が臨床との橋渡しとなる可能性は明確ではなく、さまざまな欠点も見受けられる。ヒストン/タンパク質アセチルトランスフェラーゼ(HAT)は、クロマチンへの接近、遺伝子転写の促進に加え、複数の転写因子と非ヒストンタンパク質の機能を増強する。今回我々は、HATの1つであるp300(別名Ep300、またはKAT3B)のFoxp3+ Treg細胞における条件的欠損もしくは薬理学的阻害が、Treg細胞でのT細胞受容体誘導性のアポトーシスを増加させ、Treg細胞の抑制機能と末梢でのTreg細胞誘導を障害し、免疫適格マウスでは腫瘍増殖を制限するが、免疫不全マウスでは制限しないことを報告する。したがって我々の結果は、p300がin vivoおよびin vitroでFoxp3+ Treg細胞の機能および恒常性に重要であることを実証しており、また適切な低分子阻害剤がエフェクターT細胞応答を明らかに損なったり、自己免疫を誘導したりすることなしに、Treg細胞機能を減弱できる機序を明らかにしている。

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