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結核:結核治療薬の強力な臨床候補Q203の発見

Nature Medicine 19, 9 doi: 10.1038/nm.3262

結核の世界的流行や、多剤耐性(MDR)結核および超多剤耐性(XDR)結核の蔓延は、世界的に公衆衛生上の重大な難問となっており、こうした問題と闘うには新しい治療戦略が必要である。臨床的に最も喫緊とされるのは、MDR結核およびXDR結核の治療期間を短縮でき、薬剤感受性結核に対する現在の治療に匹敵する治療成功率をもたらす強力な薬剤の発見である。過去10年間に、結核管理用の新種の薬剤が発見され、そのうちのいくつかは現在、臨床試験中である。しかし、臨床開発中の候補薬剤の高い失敗率や薬剤耐性の出現を考えると、さらなる臨床候補の発見が必要なことは明らかである。本論文では、イミダゾピリジンアミド(IPA)化合物という有望な候補について報告する。この化合物は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の呼吸鎖のシトクロムbc1複合体を標的とすることで、菌の増殖を阻止する。最適化されたIPA化合物のQ203は、MDR結核菌およびXDR結核菌の臨床分離株の培養培地中での増殖を低ナノモル濃度域で阻害し、また、結核のマウスモデルでは体重1 kgあたり1 mg未満の投与量で効果が見られ、これはQ203の有効性をはっきり示している。さらに、Q203は1日1回の投与量で有効な薬物動態と安全性プロファイルを示す。まとめると我々のデータは、Q203が結核治療用の有望な新規臨床候補であることを示している。

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