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骨代謝:PPARβ/δはWntシグナル伝達と骨の代謝回転を支配する

Nature Medicine 19, 5 doi: 10.1038/nm.3146

ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)群は、代謝センサーとして、また脂肪とグルコース恒常性の重要な調節因子として働いている。さらに、PPARγは、マウスとヒトで骨量の主要な異化性調節因子であることが示されている。しかし、他のPPARサブタイプが骨の恒常性調節に関与しているかどうかは、まだ明らかにされていない。本研究では、PPARβ/δが、骨の代謝回転および骨芽細胞と破骨細胞間のクロストークの重要な調節因子という、これまで知られていなかった役割を持つことを報告する。PPARγの活性化とは対照的に、PPARβ/δの活性化は、骨芽細胞でWnt依存性かつβ-カテニン依存性のシグナル伝達と遺伝子発現を増幅させ、その結果オステオプロテジェリン(OPG)の発現が増加し、骨芽細胞を介した破骨細胞形成が低下した。それに対応して、PPARβ/δ欠失マウスでは、Wntシグナル伝達活性低下、血清中OPG濃度低下、破骨細胞数の増加および骨減少がみられた。閉経後骨粗鬆症のマウスモデルで、PPARβ/δを薬理学的に活性化させると、OPGに対するRANKL(別名TNFSF11)の比率の変化が正常化されて骨代謝回転の均衡が戻り、正常な骨密度への回復がみられた。以上の結果は、PPARβ/δが、骨粗鬆症および関連疾患の新たな治療法のための有望な標的であることを明らかにしている。

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