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造血:マクロファージは真性赤血球増加症およびβサラセミアにおける病的な赤血球産生を助ける

Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3126

赤血球産生の調節は、さまざまなシグナルが協調して作用することで達成される。その中でマクロファージは、特にストレス条件下で、赤芽球分化に対してエリスロポエチン補完的調節因子として働くことが明らかになりつつある。本論文では、赤血球産生増加を引き起こす生理的、および病的な条件へのマクロファージの関与について調べた。我々が用いたのは誘発性貧血、真性赤血球増加症およびβサラセミアのマウスモデルで、これらのモデルでマクロファージを化学的処理により大幅に減少させた。データからは、マクロファージが赤芽球の増殖および分化の調節を介して、誘発性貧血からの回復だけでなく、真性赤血球増加症およびβサラセミアの疾患進行にも明らかに関与していることが示された。さらに、このような知見をヒト初代培養細胞で検証し、健常者、真性赤血球増加症およびβサラセミアの患者から単離した赤芽球の増殖および脱核にマクロファージが直接的な影響を与えることを明らかにした。ストレス下、および病的状態での赤血球産生に対するマクロファージの寄与〔我々はSEMA(stress erythropoiesis macrophage-supporting activity)と命名〕は治療法にも関わってくると考えられる。

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