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HIV:不十分な濾胞T細胞ヘルプはHIV感染の間のB細胞免疫を障害する

Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3109

HIV感染患者の大多数は防御抗体を産生できず、新たな免疫化に対する反応が弱い。今回我々は、HIV感染患者の濾胞ヘルパーT(TFH)細胞は増殖はするが、B細胞に十分なヘルプを与えられないことを報告する。HIV感染患者リンパ節ではPD-L1(programmed cell death ligand 1)+由来の胚中心B細胞の頻度が高いことが見いだされ、このことからTFH細胞機能の調節にPD-1−PD-L1相互作用が役割を担っている可能性が考えられた。実際に、TFH細胞へのPD-1の会合が、細胞増殖、活性化、ICOS(inducible T-cell co-stimulator)発現およびインターロイキン21(IL-21)のサイトカイン分泌を低下させることが示された。PD-1シグナル伝達の遮断により、in vitroでHIV特異的免疫グロブリン産生が増強される。さらに、in vitroではIL-21の投与が抗体応答と形質細胞発生を回復させることから、このような欠陥の少なくとも一部にはIL-21が関与していることがわかった。今回の結果は、TFH細胞を介したB細胞ヘルプの脱調節が、HIV感染の際のB細胞応答を減弱させ、またこれがTFH細胞上のPD-1によるシグナル伝達開始に関係する可能性を示唆している。これらの結果は、HIVの病因にTFH細胞の障害が関わっていることを実証しており、またこの細胞の機能の増強がHIV感染の転帰と制御に大きな影響を与え、将来的なHIV感染の防御とワクチン接種に対する免疫応答の改善につながる可能性を示唆している。

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