Review

マラリア:マラリアの生物学的特性および病因:新規治療に向けた考察

Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.3073

熱帯熱マラリアは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の寄生によって発症する感染症で、アフリカだけで毎年100万人近くの小児の生命が奪われており、最重要の公衆衛生問題の1つとなっている。アルテミシニン誘導体は、感染の血中無性増殖期に効果のある最先端の治療薬だが、これに対する耐性が、東南アジアで出現しつつあることを示す証拠が増えてきている。新たなマラリア撲滅計画では、循環血中の熱帯熱マラリア原虫配偶子母細胞を死滅させて伝播を防止する新規薬剤など、抗マラリア剤のレパートリーが拡大されたことが役立つだろう。血中無性増殖期の原虫および配偶子母細胞の生物学的特性についての現在の知識とin vitroでの培養技術から、大規模な化学ライブラリーに対するハイスループット・スクリーニングによって、新世代の抗マラリア薬が作られると期待されている。一方、重症マラリアの高い死亡率を低下させるための新規な治療法も必要である。重症疾患の病態生理が解明されれば、生存率を改善する薬剤の標的を合理的に同定できるかもしれない。

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