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繊維症:ヒト精巣上体タンパク質4は繊維症における繊維芽細胞由来のメディエーターである

Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.2989

繊維症への筋繊維芽細胞の機能的寄与についてはよくわかっていない。我々は新規な遺伝学的マウスモデルを用いて筋繊維芽細胞を追跡・分離し、遺伝子発現解析に続いて生物学的検証を行って、HE4(ヒト精巣上体タンパク質4をコードし、WAP 4-disulfide core domain-2またはWfdc2としても知られる)が繊維症に関連する筋繊維芽細胞中で発現が最も増大している遺伝子であることを突き止めた。HE4遺伝子はセリンプロテアーゼ阻害物質と考えられるタンパク質をコードしており、このタンパク質はヒトおよびマウスの繊維性腎臓で発現が上昇しており、腎繊維症患者の血清中では量が増加している。HE4はセリンプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼなどの多数のプロテアーゼの活性を抑制し、特にそれらのI型コラーゲン分解能を阻害する。我々は、Prss35およびPrss23という2種類のセリンプロテアーゼが腎繊維症と機能的関連があり、HE4の標的であることを明らかにした。3種類の腎疾患マウスモデルで、HE4に対する中和抗体投与は、コラーゲンIの分解を促進し、繊維症を抑制した。以上を総合すると、本研究はHE4が腎繊維症のバイオマーカー候補であり、新規治療標的となる可能性を示している。

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