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子宮内膜症:ステロイド受容体活性化補助因子1の新規アイソフォームは子宮内膜症の病態進行にきわめて重要である

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2826

子宮内膜症はエストロゲンに依存する炎症性疾患と考えられているが、その病因は明らかではない。今までのところ、子宮内膜症の進行におけるステロイド受容体活性化補助因子(SRC)の機能的役割は解明されていない。SRC-1遺伝子が子宮内膜症の進行に不可欠の役割を持つことは、SRC-1ヌルマウスモデルによって明らかになっている。今まで同定されていなかったタンパク質分解アイソフォーム70-kDa SRC-1が、外科的に子宮内膜症を誘導したマウスの子宮内膜症組織、および子宮内膜症患者の生検で得た子宮内膜症ストローマ細胞で、正常な子宮内膜に比べて大幅に増加していることは注目すべきである。外科的に子宮内膜症を誘導したTnf−/−およびMmp9−/−マウスでは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)誘導性のマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)活性化が、子宮内膜症マウスの組織で70-kDa SRC-1 C末端アイソフォーム形成を引き起こすことがわかった。完全長SRC-1とは対照的に、子宮内膜症に見られる70 kDa SRC-1 C末端断片は、ヒトの子宮内膜症上皮細胞でTNF-αを介するアポトーシスを防止し、上皮間葉転換に加えて、進行性の子宮内膜症の特徴であるヒト子宮内膜症細胞の浸潤を引き起こす。まとめるとこれらの結果は、新たに見つかったTNF-α−MMP9−SRC-1アイソフォーム機能軸は、子宮内膜症の病態進行を促進することを示している。

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