Editorial

ワクチンの歴史から得られる教訓

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.3039

HIV、結核、マラリアなどの広く存在する病原体に対して高い効果のあるワクチンは、長年の努力にもかかわらず、いまだに作られていない。最近のワクチン臨床試験では、開発を中断させかねない事態が2度も起こった。1つはマラリアワクチンの第3相臨床試験、もう1つはデング熱ワクチンの2b相試験で、いずれも前回までの成績がもたらした期待を裏切る結果が出たのである。感染を防ぐのにはどのような免疫応答が必要なのかがはっきりわかっていないことが、合理的なワクチン設計に対する非常な難問となっている。こうした臨床試験結果は、スタート地点に立ち返ってワクチンが効力を発揮する機序を解明し、それに基づいて新しいワクチンをどのような方法で開発すべきかを再考し、さらに既存の小児用ワクチンから何が学べるかを詳しく検討すべき時期であることを示唆しているのではないだろうか。

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