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ワクチン:忠実度を低下させたコロナウイルス生ワクチンは老化し免疫応答が低下した致死性疾患マウスモデルを感染から防御する

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.2972

弱毒化RNAウイルス生ワクチンは有効性が高いが、毒性を持つウイルスへの復帰変異を起こしやすい。RNAウイルスでは、毒性および抗ウイルス療法回避の重要な決定要因が複製忠実度であることがわかっており、一部のウイルスは忠実度の上昇によって弱毒化される。コロナウイルス(CoV)の複製忠実度は、ほかのRNAウイルスのほぼ約20倍と高く、これにはおそらくRNA校正機能を持つ3′→5′エキソヌクレアーゼ(ExoN)活性がかかわっている。本論文では、重症急性呼吸器症候群(SARS)-CoVのExoNを不活性化すると、in vivoでの忠実度が大きく低下した安定なミューテーター表現型が生じ、若齢マウス、老齢マウスおよび免疫不全マウスで病原性の低下がみられることを示す。ExoNが不活性化した遺伝子型およびミューテーター表現型は安定で、連続継代培養後、あるいはin vivoでの長期持続感染後でも毒性型に復帰することがない。ExoNの不活性化は、CoVで、そしておそらくはほかのRNAウイルスでも、安定した弱毒化に広く使える可能性がある。

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