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アルツハイマー病:IL-12/IL-23シグナル伝達の阻害はアルツハイマー病様の病態および認知機能低下を軽減させる

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.2965

アルツハイマー病の病態には炎症性要素があり、炎症誘発性サイトカインの上方制御、特にアミロイドβ(Aβ)タンパク質に応答して起こる上方制御を特徴とする。我々はAPPPS1アルツハイマー病マウスモデルを用い、インターロイキン12(IL-12)およびIL-23に共通するサブユニットであるp40のミクログリアによる産生が増加することを見いだした。IL-12/IL-23シグナル伝達分子のサブユニットp40、p35またはp19の遺伝子破壊によって大脳のアミロイド沈着が減少し、p40またはその受容体複合体を欠損させた場合に影響が最大となった。脳アミロイドーシスの軽減には、放射線耐性を示す脳グリア細胞でのIL-12/IL-23シグナル伝達経路の欠損が最も効果的だったが、p40に特異的な中和抗体の末梢投与も、APPPS1マウスの脳へのアミロイド沈着を低減させた。さらに、抗p40抗体の脳室内送達は、可溶性Aβ類の濃度を大幅に低下させ、老齢APPPS1マウスの認知機能低下を回復させた。p40の濃度はアルツハイマー病患者の脳脊髄液内でも増加しており、このことは、IL-12/IL-23経路の阻害が、アルツハイマー病の病態および認知機能低下を軽減する可能性があることを示している。

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