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がん:CUEDC2タンパク質の発現増加は乳がんに
内分泌療法耐性を付与する

Nature Medicine 17, 6 doi: 10.1038/nm.2369

内分泌療法抵抗性は、乳がんホルモン療法に対する大きな障害の1つである。エストロゲン受容体α(ERα)の発現低下が内分泌療法抵抗性の一因であることはすでに知られているが、内分泌療抵抗性におけるERα発現低下の機構は、十分に解明されていない。本論文では、ユビキチン結合モチーフ含有タンパク質であるCUEDC2(CUE domain-containing protein-2)が、乳がんにおける内分泌療法抵抗性の重要な要因であることを報告する。CUEDC2はユビキチン-プロテアソーム経路を介してERαタンパク質の安定性を調節することがわかった。乳がん患者の大規模コホートから得られた検体についての研究から、CUEDC2とERαタンパク質発現との間に強い逆相関が見いだされた。特に、CUEDC2を高発現する腫瘍を有する患者は、タモキシフェン治療に対する反応性が低く、再発の可能性が高かった。さらにCUEDC2の異所性発現がタモキシフェンに対する乳がん細胞の反応性を障害することが明らかになった。したがって、今回の知見は、CUEDC2が乳がんの内分泌療法抵抗性の重要な決定因子であることを示唆している。

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