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脳内出血:高血糖誘発性の脳血腫拡大は血漿カリクレインによって仲介される

Nature Medicine 17, 2 doi: 10.1038/nm.2295

高血糖は、脳内出血後の血腫拡大の促進と臨床転帰不良に関連している。本論文では、糖尿病のラットおよびマウスでは、自家血の脳内注入によって引き起こされる脳血腫拡大が、非糖尿病対照動物よりも大きいこと、またこの拡大促進は血漿カリクレイン(PK)の阻害または欠損によって改善されることを示す。精製PKの脳内注入は、糖尿病ラットおよび急性高血糖ラットの両方で血腫拡大を促進したが、ブラジキニン、プラスミンあるいは組織プラスミノーゲンアクチベーターの注入ではこのような応答はみられなかった。この血腫拡大促進は急速に起こり、糖タンパク質VIアゴニストであるコンブルキシンのPKとの同時注入により防止され、また、糖タンパク質VIの阻害あるいは欠損によって促進が模倣されたことから、PKの血小板凝集阻害に与える影響がかかわっていると考えられる。PKはコラーゲンへの結合によりコラーゲン誘発性の血小板凝集を阻害すること、この応答はグルコース濃度上昇によって増強されることがわかった。血腫拡大に与える高血糖の影響や、PKを介する血小板凝集阻害の影響は、マンニトール注入でも再現されると考えられる。これらの知見は、高血糖が、PKを介する浸透圧感受性の止血阻害によって脳血腫拡大を増強することを示唆している。

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