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免疫:血液凝固と自然免疫の好中球セリンプロテアーゼを介した相互関連

Nature Medicine 16, 8 doi: 10.1038/nm.2184

血中の好中球は、病原体に対する最初の防御線となるが、血栓形成過程への関与も示されている。好中球がこのように2つの機能をもつのは、血液凝固と抗微生物防御の間の進化的に保存された関連を表している可能性があるが、この関連の決定因子となる分子とin vivoでの重要性については明らかになっていない。今回我々は、セリンプロテアーゼ(好中球の主要な殺菌エフェクター)である好中球エラスターゼとカテプシンGが、分泌されたヌクレオソームとともに、in vivoで血液凝固と血管内血栓形成を促進することを示す。セリンプロテアーゼと細胞外ヌクレオソームは、凝固抑制因子である組織因子経路阻害因子の局所的なタンパク質分解が関与する過程で、組織因子および第XII因子に依存する凝固を増強する。全身性感染の際には、凝固作用の活性化は肝臓微小血管内への細菌の隔離を促進し、組織への細菌侵入を低下させる。細菌感染がない場合には、好中球由来のセリンプロテアーゼとヌクレオソームは、心筋梗塞や脳卒中の主な引き金である大血管中での血栓形成に関与することがある。血液凝固が病原体の伝搬を抑制可能なことは、微小血管での血栓形成が宿主防御の生理的な手段であることを示している。

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