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腎疾患:腎臓ではメチル化が繊維芽細胞の活性化と繊維形成を決定する

Nature Medicine 16, 5 doi: 10.1038/nm.2135

繊維形成は、最初の傷害が取り除かれても終結しない病的な創傷治癒過程である。繊維芽細胞は、繊維症の主要なメディエーターであり、繊維組織から単離した繊維芽細胞はin vitroで培養した場合を含めて、静止状態に戻れない。我々は、基盤となる分子機構を探索し、繊維形成の恒久的持続がエピゲノム修飾によって引き起こされると考えた。本論文では、腎臓での繊維芽細胞の恒久的活性化と繊維形成が、Rasがんタンパク質阻害因子の1つをコードするRASAL1の過メチル化と関連していることを明らかにする。腎臓の繊維形成の際のRASAL1過メチル化は、メチルトランスフェラーゼDnmt1を介して起こり、Dnmt1+/−ヘテロ接合性マウスでは腎繊維症が軽減する。以上の結果は、エピゲノム修飾が腎臓での繊維芽細胞の恒久的活性化と繊維形成の分子基盤となる可能性を示している。

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