Letter

神経障害:Slitrk5の欠損はマウスの皮質線条体回路を障害し、強迫様行動を惹起する

Nature Medicine 16, 5 doi: 10.1038/nm.2125

強迫性障害(OCD)は、強迫観念と反復性の強迫行為の存在を特徴とする広くみられる精神疾患であり、不安および抑うつ症状を含むことも多い。最近、OCDの発生病理への皮質線条体回路の関与が明らかになった。しかし、OCDの病因、病態生理および分子基盤は、依然として不明である。いくつかの研究は、OCDの病因に遺伝的要因が関与することを示している。今回我々は、神経細胞に特異的な膜貫通型タンパク質Slitrk5(SLIT and NTRK-like protein-5)の喪失が、マウスでOCDに類似する行動を惹起し、過剰な毛づくろい、不安様行動の増加などがみられるようになること、またこうした行動が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルオキセチンによって軽減されることを明らかにする。Slitrk5−/−マウスは、眼窩前頭皮質に選択的な過剰活性化、線状体の解剖学的および細胞形態学的異常、グルタミン酸受容体構成の変化を示し、これらは皮質線条体での神経伝達不全の原因となっている。したがって本研究は、Slitrk5が皮質線条体シナプスに必須の分子であることを明らかにし、OCD様行動に対する新規のマウスモデルを提供するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度