Technical Report

幹細胞:生殖系列に分化可能なことが実証された非肥満性糖尿病マウス由来胚性幹細胞系列

Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1996

非肥満性糖尿病(NOD)マウスは1型糖尿病の優れたモデルの1つである。この疾患への遺伝の関与は複雑であり、糖尿病発症には20を超える遺伝子座がかかわっていると考えられている。NODマウスモデル(また、実際には他の自然発生型自己免疫疾患モデルも)を用いる際の難問の1つは、候補となる染色体領域内に塩基配列変異が高密度で存在することである。また、多数の病因遺伝子座候補を遺伝子ターゲティングで解析できる機会は、NODの胚性幹(ES)細胞がないことで制限されてきた。本論文では、安定な遺伝的修飾を施した後にキメラマウスを作出可能なNOD ES細胞系列の誘導について報告する。これらのNOD ES細胞系列では、生殖系列への効率のよい伝達がみられ、子孫に糖尿病が発生した。こうした細胞が使用可能となったことで、密接に関連しあっている遺伝子座の詳しい解析と、それらが1型糖尿病の発症に果たす役割の解明が可能になるだけでなく、新たなトランスジェニック動物の作製も促進されるだろう。

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