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がん:造血コロニー刺激因子は腫瘍−神経相互作用と骨転移痛に関与する

Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1976

一部のがんに伴って生じる疼痛は、最も過酷で消耗の激しい症状の1つである。種々のタイプのがんや肉腫が骨に転移して自発性の骨痛および痛覚過敏症を惹起するが、これは骨の破壊と末梢神経の再編成を伴う。最近の進歩にもかかわらず、がんによる疼痛の発生と持続の基盤となる分子機序は解明が進んでいない。数種の非造血系腫瘍は、骨髄細胞と腫瘍細胞に作用する造血コロニー刺激因子を分泌する。本論文では、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の受容体とシグナル伝達メディエーターも知覚神経上で発現して機能していることを報告する。in vitroおよびinvivoで、GM-CSFは神経を機械的な刺激に対して感作し、CGRP(calcitonin gene-related peptide)放出を増大させ、皮膚の知覚神経終末の発芽を惹起した。in vivoでG-CSFおよびGM-CSFのシグナル伝達を遮断すると、腫瘍増殖および神経再編成が抑制され、骨転移痛が消失した。知覚神経特異的なGM-CSF受容体ノックダウンによってがん性疼痛が減弱化されることから、感覚神経におけるGM-CSFシグナル伝達の重要性が極めて高いことが明らかになった。今回の結果は、G-CSFおよびGM-CSFが腫瘍-神経間の相互作用に重要であり、一次求心性神経繊維上にあるG-CSFおよびGM-CSFの受容体ががん性疼痛における治療標的となる可能性を示している。

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