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結核:合成EthR阻害剤はエチオナミドの抗結核活性を増強する

Nature Medicine 15, 5 doi: 10.1038/nm.1950

結核治療にともなう副作用は、服薬不履行やそれが引き起こす薬剤耐性の出現などのリスクをもたらす。したがって、抗結核薬の治療指数の上昇は、治療の有効性を改善すると考えられる。抗結核性化合物の中には、阻害作用を発揮するのにin situでの代謝活性化が必要なものがある。エチオナミドなどのさまざまなチオカルバミド含有薬は、マイコバクテリアのモノオキシゲナーゼEthAにより活性化され、EthAの産生は転写リプレッサーEthRにより制御されている。今回我々は、エチオナミドの生体内活性化を増強するドラッグライクなEthR阻害物質を同定した。EthRとDNAとの相互作用を阻害するように設計・選別された化合物をEthRと共結晶化し、この複合体の三次元構造を用いて、培養中でエチオナミドの効力を10倍以上に増強する改良型類似化合物を合成した。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染したマウスで、こうした類似化合物の1つであるBDM31343は、従来の高用量投与と同程度まで結核菌負荷を減らすために必要なエチオナミドの用量を大幅に低下させた。以上の結果は、EthRの阻害がチオカルバミド誘導体の治療指数を改善するという考えを実証しており、これらの薬剤を第一選択薬として使用することの再考を促すものである。

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