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アルツハイマー病:アルツハイマー病のげっ歯類および霊長類モデルでみられる脳由来神経栄養因子による神経保護作用

Nature Medicine 15, 3 doi: 10.1038/nm.1912

嗅内皮質における著しい神経機能障害は、アルツハイマー病での短期記憶早期低下の原因となる。今回我々は、いくつかのアルツハイマー病動物モデルで、嗅内野への脳由来神経栄養因子(BDNF)の投与が幅広い神経保護作用を示し、海馬の変性に対する治療効果を向上させることを示す。アミロイド・トランスジェニックマウスへのBDNF遺伝子の送達では、発症後の投与がシナプス消失を回復させ、異常な遺伝子発現が部分的に正常化し、細胞シグナル伝達が改善して学習能力および記憶が回復する。これらの結果は、アミロイド斑沈着への影響とは関係なく生じる。老齢ラットでは、BDNFの注入は認知力低下を回復させ、年齢による遺伝子発現の混乱を改善し、細胞シグナル伝達を回復させる。成体ラットおよび霊長類では、BDNFは病変によって誘発される嗅内皮質神経細胞の壊死を防止する。老齢の霊長類では、BDNFは神経細胞の委縮を回復させ、年齢による認知障害を改善する。以上を総合するとこれらの知見は、BDNFはアルツハイマー病に関わる非常に重要な神経回路に対し、アミロイドとは無関係な機序を介してかなりの保護作用をもたらすことを示している。BDNF送達による治療の研究は、アルツハイマー病に対する有望な治療法となると期待される。

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