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動脈硬化:血小板由来ケモカイン間の機能的相互作用の阻害は、高脂血症マウスでアテローム性動脈硬化を抑制する

Nature Medicine 15, 1 doi: 10.1038/nm.1898

アテローム性動脈硬化は、ケモカインによって駆動される単核細胞動員による動脈壁の慢性炎症を特徴とする。活性化血小板はケモカインと協調してアテローム発生を激化させる場合がある。たとえば、ケモカインである血小板第4因子(PF4、別名CXCL4)とRANTES(CCL5)の沈着は、炎症を起こした内皮上での単球の停止を引き起こす。CCL5の動員機能にはホモオリゴマー形成が必要だが、最近になってケモカインのヘテロオリゴマー形成も制御機構となることがわかってきた。これはCXCL8とCXCL4の活性の相互調節やCCL5-CXCL4相互作用の結果として起こる単球停止の増大によって実証されている。CCL5アンタゴニストであるMet-RANTESは食餌誘発性アテローム性動脈硬化を軽減させるが、CCL5拮抗作用は治療使用に適していない可能性がある。それは、Ccl5欠損マウスを使った研究から示されるように、CCL5の直接的阻害が全身の免疫応答を大幅に減弱し、マクロファージが仲介するウイルス排除を遅延させ、正常なT細胞機能を障害するからである。今回我々は、CCL5-CXCL4ヘテロマーの構造的特徴を決定し、炎症惹起性のCCL5-CXCL4相互作用を特異的に阻害する安定なペプチド阻害薬を設計し、これにより上述した副作用なしに単球動員を低下させ、アテローム性動脈硬化を軽減させた。以上の結果は、in vivoでのケモカインヘテロマーの直接的関連を明らかにしており、ヘテロマー形成を標的とすることにより治療効果がもたらされる可能性を示している。

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