Letter

HIV:用量反応曲線の傾きは、抗HIV薬の阻害能のクラス特異的な限界を規定する

Nature Medicine 14, 7 doi: 10.1038/nm1777

抗レトロウイルス薬多剤併用療法(HAART)はHIV-1の複製を抑制するが、最適に及ばない治療の場合は、耐性が生じたりウイルス血症が再発したりする。臨床関連条件下での抗ウイルス活性の比較尺度は、薬剤開発やウイルス複製抑制を最大にする治療法を選択する指針となる。本論文では、IC50および阻害指数などの現在使われている抗ウイルス活性尺度は、重要な特質である用量反応曲線の傾きを考慮していないことを示す。広い濃度範囲にわたる感染アッセイを用いて、我々はこの傾きが抗ウイルス活性に大きく影響していることを明らかにした。傾きの値は、抗ウイルス薬の種類に特異的であり、いくつかの種類の抗ウイルス活性に固有の限界をはっきりさせる。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤およびインテグラーゼ阻害剤の傾きはほぼ1で、非協同的反応の特徴を示す。一方、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤および融合阻害剤の傾きは、予想外の>1という値になる。即時性阻害能(IIP)は、臨床で使われる薬剤濃度でのsingle-round 感染の対数減少に相当するが、これは傾きに強く影響され、抗HIV薬では対数値が8以上変化する。IIPは抗ウイルス活性をより正確に示す尺度であり、一般的に臨床転帰と相関がある。傾きが1以上を示す薬剤のみが、single-round感染を高いレベルで阻害し、この知見は薬剤およびワクチン開発にとって重要な関係がある。

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