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免疫:CD3特異的抗体により誘導される免疫寛容にはアポトーシスを起こしたT細胞を消化する貪食細胞からのトランスフォーミング増殖因子(TGF)βがかかわっている

Nature Medicine 14, 5 doi: 10.1038/nm1749

完全なCD3特異的抗体は一過的に多数のT細胞を消失させ、それに続いて長期にわたる免疫寛容を引き起こす。しかし、この全身性寛容の基盤となる機構についてはまだ明らかにされていない。本論文では、正常マウスに完全なCD3抗体を投与すると、アポトーシスを起こしたT細胞に暴露された貪食細胞から産生されるトランスフォーミング増殖因子(TGF)βが全身的に増加することを示す。貪食細胞のうち、マクロファージと未成熟樹状細胞(iDC)がアポトーシスを起こしたT細胞を貪食した際にTGF- βを分泌し、TGF- βは培養系ではCD4+Foxp3+調節性T細胞を誘導し、またin vivoではCD3特異的抗体を介する免疫寛容にかかわる。これらの結果と一致して、マクロファージとiDCの除去はミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質により誘導される急性実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のCD3特異的抗体による防御を消失させるのに加えて、EAEの再発寛解型モデルでは確立したEAEに対するCD3抗体の治療効果も無効にする。したがって、CD3特異的抗体により誘導される免疫寛容はアポトーシスを起こしたT細胞の除去にかかわる貪食細胞でのTGB- β産生と関連しており、免疫寛容における免疫の能動的抑制とアポトーシスの間につながりがあることを示唆している。

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