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自己免疫疾患:Dcirの欠損はマウスで樹状細胞の過剰な増殖に起因する自己免疫疾患発症の原因となる

Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1697

樹状細胞免疫受容体(公式の遺伝子記号はClec4a2、ここではDcirと呼ぶ)は、主に樹状細胞(DC)に発現するC型レクチン受容体であり、細胞外に糖鎖認識ドメイン、細胞質内に細胞に負のシグナルを伝達するITIM(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)をもつ。我々は、2種類の関節リウマチモデルマウスの関節でDcirの発現が高いことを見いだした。Dcirは、その構造的特徴から免疫を調節する役割をもつ可能性が示唆され、また自己免疫関連遺伝子がヒトのDCIR遺伝子座に位置決定されていることから、我々はこの分子の病理学的な役割を確認するためにDcir-/-マウスを作製した。加齢したDcir-/-マウスは、血清中の自己抗体の上昇に関連して、唾液腺炎と付着部炎を自然発症した。また、Dcir-/-マウスはコラーゲン誘導関節炎の顕著な増悪化を示した。加齢時またはII型コラーゲンで免疫したDcir-/-マウスでは、DCの過剰な増殖が認められた。さらに、Dcir-/-マウス由来の骨髄細胞(BMC)を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子で処理すると、STAT5(signal transducer and activator of transcription-5)のリン酸化が亢進し、野生型由来BMCよりも効率よくDCに分化した。これらの観察は、DcirがDC増殖の負の調節因子であり、免疫系の恒常性維持に重要な役割を担っていることを示している。

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