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免疫:CD4+CD25+Foxp3+調節性Tリンパ球による急性および慢性の同種移植片拒絶の防止

Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1688

移殖医学における重要な難問題は、移植片拒絶の原因となる、外来抗原への非常に強い免疫応答の調節である。免疫抑制剤は急性の移植片拒絶を効率よく抑制するが、かなりの割合の患者が慢性の拒絶に苦しみ、これは最終的には移植片の機能喪失につながる。拒絶は、移植片に対する免疫寛容の誘導によって回避でき、一生の間免疫抑制剤の投与を受ける必要がなくなると考えられる。自己抗原に対する寛容は複数の機構によって自然に確立するが、その主なものの1つは、調節性Tリンパ球の活性に依存している。本論文では、臨床的許容レベルの放射線照射を受けたマウスで、in vitroで同種抗原によって刺激されたCD4+CD25+Foxp3+調節性T細胞が、骨髄、次いで皮膚や心臓の同種移植片に対して長期間の寛容を誘導したことを示す。直接提示されたドナー抗原に特異的な調節性T細胞は、造血系でのキメラ現象にかかわらず、急性の拒絶のみを防止した。それとは対照的に、直接および間接的に提示された同種抗原の両方に特異性を示す調節性T細胞は、急性および慢性拒絶の両方を防止した。我々の知見は、同種移植片に対する終生の免疫寛容を誘導するためには、適切に刺激された調節性T細胞が、細胞を用いる将来の治療法に有用である可能性を実証している。

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