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肺繊維症:リゾホスファチジン酸受容体LPA1は繊維芽細胞の動員および血管漏出を仲介することで肺損傷と肺繊維症を結びつける

Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1685

損傷に対する異常な創傷治癒反応は肺繊維症の発症と関連すると考えられてきたが、そのような病的反応を誘導するメディエーターについては十分にわかっていない。本論文では、肺繊維症のブレオマイシンモデルで肺損傷後に気管支肺胞洗浄液中のリゾホスファチジン酸濃度が上昇すること、またリゾホスファチジン酸受容体の1つであるLPA1を欠くマウスでは、このモデルでの繊維症の発症率および死亡率が著しく低いことを示す。LPA1が存在しないと、繊維芽細胞動員および血管漏出の両方の低下がみられたが、これら2つは損傷が修復されずに繊維症に移行した場合に過剰に起こることがある反応である。一方、白血球の動員は損傷後1週間は維持された。特発性肺繊維症の患者でも気管支肺胞洗浄液中のリゾホスファチジン酸濃度は上昇しており、LPA1を阻害すると、洗浄液のもつ化学走性に対する繊維芽細胞の反応は大きく低下した。したがってLPA1は、損傷に対する異常な反応が発症に寄与する、特発性肺繊維症のような疾患の新たな治療標的となる。

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