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脂肪肝:ヒトの脂肪肝ではMetによるFas拮抗作用が欠如している

Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1625

脂肪肝の肝細胞はアポトーシス感受性が高く、デス受容体を介したアポトーシス活性の亢進、特にFas-FasLを介する経路による亢進が認められ、肝傷害が惹起されて、これは最終的に肝硬変および末期肝疾患に移行することがある。本論文では、肝細胞増殖因子受容体Metは、Fasの捕捉により、肝細胞におけるFas介在性のアポトーシスを防ぐ重要な役割を果たすことを報告する。さらに、MetのFasに対する拮抗作用は、ヒト脂肪肝(FLD)では抑制されることを示す。構造・機能研究により、Metαサブユニットの細胞外にあるN末端付近に存在するYLGAアミノ酸モチーフが、Fasの細胞外部分と特異的に結合し、FasLに対する強力な拮抗物質およびFas三量体化に対する阻害物質としての役割を果たすのに必要十分であることが明らかになった。FLDのマウスモデルを用いた実験により、合成YLGAペプチドは肝細胞のアポトーシスおよび肝傷害を抑制し、治療に使える可能性があることが示された。

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