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糖尿病:AdipoR1とAdipoR2の特異的欠損は、アディポネクチンの結合と代謝作用を抑制する

Nature Medicine 13, 3 doi: 10.1038/nm1557

アディポネクチンは、抗糖尿病・抗動脈硬化作用をもつアデイポカインとして中心的役割を果たす。AdipoR1とAdipoR2はin vitroでアディポネクチンの受容体として機能し、肥満におけるこれらの減少は、アディポネクチン感受性の低下と関連していると考えられる。本論文では、レプチン受容体欠損肥満マウス(Lepr-/-)の肝臓で、アデノウイルスベクターによりAdipoR1およびR2を発現させると、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-αのシグナル経路がそれぞれ増大することを示す。AMPKの活性化は糖新生を低下させるが、AdipoR1およびR2の発現は、いずれの場合も脂肪酸の酸化を増大させ、糖尿病を改善した。AdipoR1を特異的に欠損させると、アディポネクチンにより誘導されるAMPK活性化が抑制され、AdipoR2を特異的に欠損させると、PPAR-αシグナル経路の活性が低減した。AdipoR1とR2の双方を同時に欠損させると、アディポネクチンの結合と作用が抑制され、組織の中性脂肪量、炎症および酸化ストレスが増大し、インスリン抵抗性および顕著な耐糖能低下につながった。したがって、AdipoR1とR2はin vivoでアディポネクチンの主要な受容体として機能し、グルコースと脂質代謝、炎症および酸化ストレスのin vivoでの調節で重要な役割を果たしている。

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