Letter

骨代謝:PPAR-γはマウスの破骨細胞形成を制御する

Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1672

破骨細胞は、単球-マクロファージ系列の造血前駆細胞に由来する骨吸収細胞である。破骨細胞機能の制御は、骨粗鬆症、関節リウマチ、大理石骨病などの骨疾患を理解する上できわめて重要である。PPAR-γ(peroxisome proliferator-activated receptor-γ)は骨芽細胞の分化を抑制することが示されているが、破骨細胞における役割は、あるとしてもまだ不明である。インスリン感受性増強薬に属するチアゾリジンジオンなどのPPAR-γアゴニストは、ヒト患者で骨折率を増加させることが報告されているので、これは臨床的に重要な問題である。今回我々は、PPAR-γが骨芽細胞にはあるが破骨細胞では欠損しているTie2Cre/floxマウスモデルを用いて、PPAR-γの破骨細胞形成促進作用を明らかにする。このようなマウスは骨量の増加、骨髄腔の狭小化、および脾臓における髄外造血を特徴とする大理石骨病を発症する。これらの異常は破骨細胞の分化障害とRANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)のシグナル伝達異常の結果生じたもので、骨髄移植により救済できる。さらに、ロシグリタゾンを用いたPPAR-γのリガンドによる活性化は、破骨細胞の分化を受容体依存的に増強する。基盤となる機序の検討から、PPAR-γは、破骨細胞形成の重要なメディエーターであるc-fos発現の直接の制御因子として機能することが示唆された。したがって、PPAR-γとそのリガンドは破骨細胞分化と骨吸収の促進に今まで明らかにされていなかった役割をもつと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度