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炎症:タンパク質のカルバミル化は炎症、喫煙、尿毒症、アテローム発生を関連づける

Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1637

カルバミル化によるタンパク質の翻訳後修飾および機能障害は、末期腎疾患で起こる血管機能不全を促進すると考えられている。尿素と平衡状態にある高反応性化学種であるシアン酸は、タンパク質のリシン残基をカルバミル化してε-カルバミルリシン(ホモシトルリン)を形成し、タンパク質の構造および機能を変化させる。本論文では、炎症部位およびアテローム性動脈硬化斑に、シアン酸形成およびタンパク質カルバミル化を起こす、量的に優勢なまた別の機構が存在することを報告する。これはミエロペルオキシダーゼを介したチオシアン酸の酸化によるもので、チオシアン酸は血中に大量に含まれる陰イオンで、喫煙者ではことに濃度が高い。また、ミエロペルオキシダーゼが触媒するリポタンパク質のカルバミル化は、低密度リポタンパク質のマクロファージスカベンジャー受容体A1認識リガンドへの変換、コレステロールの蓄積、泡沫細胞の形成などの多数のアテローム硬化促進性の活性を助長することを示す。2つの別個の臨床試験(総被験者数1,000人)で、タンパク質と結合したホモシトルリンの血漿中濃度によって、冠動脈疾患、将来の心筋梗塞、脳卒中、死亡のリスク増大が独立に予測された。タンパク質のカルバミル化は、炎症、喫煙、尿毒症、冠動脈疾患の病因を関連づける機構であると考えられる。

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