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生殖免疫:脱落膜NK細胞はヒトの胎児-母体境界組織で重要な発生過程を調節している

Nature Medicine 12, 9 doi: 10.1038/nm1452

NK細胞は、妊娠中に母体脱落膜に蓄積し、胎児の栄養膜細胞と直接接触することが知られている。NK細胞が半同種的な胎児細胞を殺さないことの説明として、いくつかの機構が考えられている。しかし、妊娠時の脱落膜NK(dNK)細胞の実際の機能はほとんどわかっていない。本論文では、dNK細胞はインターロイキン8およびinterferon-inducible-protein-10というケモカインを産生することにより、in vitroおよびin vivoでの栄養膜細胞の浸潤を調節するが、末梢血由来のNK細胞群にはこの能力がないことを報告する。またdNK細胞は、一連の血管新生因子群を強力に分泌し、脱落膜内の血管増殖を誘導する。dNKを活性化する受容体およびdNKに抑制的な受容体と、胎児と母体の境界組織で特異的に発現されるこれら受容体のリガンドとの間の特異的な相互作用が、これらの機能を調節していることは注目に値する。まとめると、以上の結果は生殖免疫系の「平和的」モデルを支持するもので、ここには自然免疫の諸因子が生殖組織の成長を助けるように、いわば「建設的に」組み込まれている。

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