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感染症:抗微生物ペプチドであるカテリシジンは尿路を侵入性細菌感染から防御する

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1407

尿路は外部環境に近接して機能するが、病気を避けるために細菌定着のない状態を維持し続けなければならない。尿路で抗微生物障壁を構築する機構は完全にわかっているわけではない。本論文では、抗微生物ペプチドであるカテリシジン(cathelicidin)に属するLL-37とその前駆物質であるhCAP-18、およびマウスのオーソログであるCRAMPの、ヒトおよびマウスの尿路上皮細胞での産生と機能について述べる。上皮細胞に細菌が付着すると、ヒトとマウスで当該ペプチドの迅速な産生と分泌が起こり、ヒトではLL-37/hCAP-18が尿中に放出された。CRAMP欠損マウスや好中球を除去したマウスを用いた実験から、上皮由来のカテリシジンは尿路感染の防御に相当度寄与していることがわかった。さらに、LL-37に対してより高い抵抗性を示した大腸菌(E. coli)臨床株では、LL-37感受性株よりも重症の尿路感染が引き起こされた。したがってカテリシジンは尿路の粘膜免疫における主要な因子と思われる。

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