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レプチン:C反応性タンパク質とレプチンとの直接的相互作用によるレプチン抵抗性の誘導

Nature Medicine 12, 4 doi: 10.1038/nm1372

レプチン抵抗性の基盤となる仕組みはいまだにはっきりしていない。本論文では、複数のSLIP(serum leptin-interacting protein)がヒト血液中に存在することを報告する。これらはレプチン親和性クロマトグラフィーにより単離され、質量分析法および免疫化学的分析によって同定され、主要なSLIPの1つが、C反応性タンパク質(CRP)であることが確認された。in vitroでは、ヒトCRPはレプチンの受容体への結合を直接的に阻害し、培養細胞でシグナル伝達を遮断する。in vivoでは、ヒトCRPをob/obマウスに注入すると、レプチンの満腹感や体重減少に対する作用が阻害された。ヒトCRPをコードする導入遺伝子を発現しているマウスでは、ヒトレプチンの作用は完全に弱められた。また、ヒトの初代培養肝細胞では、生理的濃度のレプチンがCRPの発現を促進しうることがわかった。最近、ヒトCRPと体脂肪蓄積および血中レプチン量の増加との相関が明らかにされている。したがって、今回の結果は、循環血中のCRPがレプチンに結合しその生理的機能を減弱するという、レプチン抵抗性の一因となる可能性がある機構を示している。

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