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肺傷害:酸素過剰はアンジオポエチン2介在性の急性肺傷害および壊死性細胞死を引き起こす

Nature Medicine 12, 11 doi: 10.1038/nm1494

血管新生増殖因子であるアンジオポエチン2(Ang2)は、血管を不安定化させて血管漏出を増大させ、血管の消退および内皮細胞のアポトーシスを促進する。我々は、Ang2は酸素過剰による急性肺傷害(ALI)に重要であろうと考えた。本論文では、野生型およびAng2-/-マウス、さらに組換え型Ang2またはAng2を標的とする短鎖干渉RNA(siRNA)のいずれかを投与した野生型およびAng2-/-マウスを用い、酸素過剰が肺に誘発する反応の性質を調べた。酸素過剰時には、肺上皮細胞でAng2の発現が誘導されるが、Ang2-/-およびsiRNA投与マウスでは、酸素過剰で誘発される酸化傷害、細胞死、炎症、透過性変化および死亡が低減した。酸素過剰は外因性およびミトコンドリア性の細胞死経路を誘導・活性化し、in vivoでは、Ang2-依存性の経路によってイニシエーターおよびエフェクター・カスパーゼを活性化する。Ang2は酸素過剰時に、in vivoでは炎症および細胞死を増大させ、in vitroでは上皮の壊死を促進する。ALIおよび肺水腫を有する成人では、血漿および肺胞水腫液のAng2が増加する。気管支肺異形成症を発症する新生児では気管のAng2も増加する。したがって、Ang2は上皮壊死のメディエーターであり、酸素過剰時のALIおよび肺水腫に重要な役割を果たしている。

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