Letter

避妊薬:生殖細胞の接着を標的とする男性用避妊薬

Nature Medicine 12, 11 doi: 10.1038/nm1420

精子形成の期間を通じて、成長・分化途上の生殖細胞は精巣に特異的な係留結合によってセルトリ細胞に接着している。この2種の細胞間の接着が損なわれると、生殖細胞は精上皮から離れ、不妊に至ることが多い。我々は以前、Adjudinが精上皮からの生殖細胞喪失を引き起こせることを報告した。しかし、被験動物の一部では、Adjudinの経口投与(体重1 kgにつき50 mgを29日間)で、肝炎や筋萎縮などの副作用が出た。今回我々は、組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)変異タンパク質を「輸送体」とし、Adjudinをこれに結合させることで特異的に精巣へ向かわせる新規の手法について報告する。この手法を使って、成体ラットの腹腔内に体重1 kgにつき0.5 μgのAdjudinを投与したところ不妊が引き起こされ、これは体重1 kgにつき50 mgを経口投与した場合の結果と同様であった。この手法は、男性用避妊薬としてのAdjudinの選択性および有効性を実質的に高めるものである。

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