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好中球減少症:LEF-1は好中球の顆粒球形成にきわめて重要であり、先天性好中球減少症ではその発現が大きく低下する

Nature Medicine 12, 10 doi: 10.1038/nm1474

本論文では、リンパ球エンハンサー結合因子1(LEF-1)が顆粒球前駆細胞の増殖、生存および分化を仲介することを示す。我々は初めに、好中球が骨髄造血の前骨髄球段階で「分化停止」している重度の先天性好中球減少症(CN)患者で、骨髄におけるこの転写因子の重要性を実証した。CNで見られる分化の停止した前骨髄球では、LEF-1の発現は大幅に低下または欠損しており、その結果、LEF-1の標的遺伝子でサイクリンD1、c-Myc、サバイビンをそれぞれコードするCCND1MYCBIRC5の発現が欠損していた。これとは対照的に、健常者ではLEF-1は前骨髄球で最も多く発現していた。CN患者2例の初期造血前駆細胞でLEF-1を再構築すると、骨髄造血不全が修復され、その結果、こうした前駆細胞は好中球へと分化した。特異的に働く短鎖ヘアピンRNAを用いて内在性LEF-1を抑制すると、健常者のCD34+前駆細胞および2種の骨髄細胞株(HL-60およびK562)の細胞は増殖が抑制され、アポトーシスが誘発された。顆粒球形成に重要な転写因子C/EBPαは、LEF-1によって直接調節を受けた。以上の結果は、LEF-1が好中球の顆粒球形成を調節する指令因子であり、その欠損はCN患者の骨髄系前駆細胞の成熟プログラム障害に重要な役割をもっていることを示している。

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