Letter

血液中のプリオンの検出

Nature Medicine 11, 9 doi: 10.1038/nm1286

プリオン病は、プリオンと呼ばれる型破りの病原体が原因で生じる。プリオンは主に、誤った折りたたみ方をされたプリオンタンパク質(PrPSc)からなる。この疾患の広まりを最小限に抑えるには、血液中のPrPScの生化学的検出のための高感度な解析法の開発が最優先課題となる。本論文では、異常プリオンを増幅させるprotein misfolding cyclic amplification(PMCA)法を自動化および最適化して、PrPScの高効率の増幅が可能であることを示す。PMCAサイクルを140回繰り返すことで、感度は標準的な検出法に比べて6600倍に上昇した。こうしたPMCAサイクルセットを2回連続して行うと感度は1千万倍に上がり、8000分子に相当する極微量のPrPScの検出が可能となった。特に連続PMCA法では、スクレイピーに罹患したハムスターの血液サンプルで89%の感度と100%の特異性でPrPScを検出できる。これらの知見は、PrPScを血液中で生化学的に検出した初めての例であり、プリオン病の早期診断に向けた非侵襲的な方法の開発を期待させるものである。

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