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ワクチン:不活化されているが代謝活性をもつ微生物:エフェクターT細胞応答と防御免疫を誘導する新たなワクチンの実例

Nature Medicine 11, 8 doi: 10.1038/nm1276

今回、不活化されているが代謝活性を示す(KBMA)細菌をもとにして、生ワクチンの有効性と不活化ワクチンの安全性をあわせもった新種ワクチンを開発した。我々はヌクレオチド除去修復に必要な遺伝子(uvrAB)を取り除き、微生物をもとにしたワクチンがソラレンや長波長紫外線による光化学的不活性化に対してきわめて高い感受性をもつようにした。このヌクレオチド除去修復変異体のコロニー形成は、数は少ないがランダムに分布するソラレン架橋によって阻害されるが、細菌個体群は遺伝子発現、タンパク質の合成・分泌を行うことができた。細胞内寄生性病原体であるリステリア菌(Listeria monocytogenes)をモデルプラットフォームとした組換えソラレン不活性化LmΔuvrABワクチンは、強力なCD4+およびCD8+T細胞応答を誘導し、感染症モデルにおいてマウスをウイルス暴露から防御し、マウスの癌モデルでは治療に有効であった。微生物KBMAワクチンは、組換えワクチンのプラットフォームとして、あるいは修飾型病原体として用いた場合、感染症および癌の治療に広い用途が考えられる。

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