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薬剤開発:SOCS3を用いた細胞内タンパク質治療は炎症とアポトーシスを阻害する

Nature Medicine 11, 8 doi: 10.1038/nm1269

SOCS(suppressor of cytokine signaling)3は、STAT(signal transducer and activator of transcription)タンパク質ファミリーが仲介する炎症性シグナル伝達を減弱する。しかし、病原体由来の炎症惹起物質であるブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)やリポ多糖類(LPS)、あるいはレクチンであるコンカナバリンA(ConA)などに暴露されると急性炎症が起こることがあり、病気を起こすような環境下で炎症性シグナルを阻止するのに生理的レベルのSOCS3は不十分であると考えられる。この考えを検証するために、細胞内送達が可能な細胞透過性の組換えSOCS3(CP-SOCS3)を作出し、SEB、LPSあるいはConAによって誘導される炎症に対する拮抗的な影響を調べた。CP-SOCS3は、2時間以内に複数の臓器に分布するようになり、白血球やリンパ球内には少なくとも8時間存在し続けることがわかった。CP-SOCS3は炎症性サイトカインの産生を減少させ、肝臓のアポトーシスと出血性壊死を軽減することにより、SEBやLPSの致死的影響から動物を守った。CP-SOCS3はまた、ConAにより誘導される肝臓アポトーシスも低減した。したがって、急性炎症の壊滅的な影響は細胞内のSOCS3にCP-SOCS3を加えてやることにより実質的に抑制される。

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