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筋ジストロフィー:ドキシサイクリンはトランスジェニックマウスにおける眼咽頭筋ジストロフィー変異の毒性を緩和し発症を遅らせる

Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1242

筋ジストロフィーは多様な病型をもつ一連の疾患で、現時点では治療法がない。眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)は、遅発性かつ進行性の常染色体優性疾患で、一般に50代または60代で発症し、嚥下困難、眼瞼下垂、近位四肢の筋力低下を伴う。OPMDは、poly-(A)binding protein nuclear 1(PABPN1)遺伝子のコード領域中の3塩基反復配列の異常な伸長((GCG)nと表される)が原因である。非罹患者では、(GCG)6が10個のアラニン残基からなるホモポリマー領域の先頭の6残基をコードしている。OPMD患者のほとんどで、この(GCG)6が(GCG)8-13に伸長しており、変異型PABPN1ではこの領域に12から17残基のアラニンが含まれる。ポリアラニン領域が伸長しているPABPN1は、骨格筋繊維の核内に管状フィラメントからなる凝集体を形成する。今回、骨格筋繊維中に核内凝集体およびTUNEL染色陽性核が見られ、進行性の筋力低下を示すOPMDのトランスジェニックマウスモデルを作出した。こうした異常の発生はドキシサイクリンの投与で相当度遅れ、症状は緩和された。ドキシサイクリンの治療効果は、凝集体を減少させ、独特の抗アポトーシス作用をおよぼすためであると考えられ、OPMDの安全かつ実施に適した治療法となる可能性がある。

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