血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に誘導される血管成
長は、生理的および病理学的な血管形成の両方で見
られ、インテグリンを介したシグナル伝達を必要と
する。本論文では、当初乳脂肪球で見つかったイン
テグリン結合タンパク質であるMFG-E8(ラクトア
ドヘリンとも呼ばれる)が成体マウスの血管内部お
よび周囲で発現され、VEGFに依存する新生血管形成
に重要な役割をもつことを示す。中和抗体およびラ
クトアドヘリン欠損マウスを用いた実験から、ラク
トアドヘリンがαvβ3とαvβ5インテグリンに結合
し、VEGFに依存するAktリン酸化と新生血管形成の
両方を変化させることがわかった。VEGF非存在下で
は、ラクトアドヘリン投与は、in vitroで内皮細胞に
αvβ3およびαvβ5に依存するAktリン酸化を誘導
し、in vivoでは虚血後の新生血管形成を大幅に改善
した。これらの結果は、VEGFに依存する新生血管形
成において、ラクトアドヘリンがもつ重要な役割を
明らかにし、新生血管形成の制御においてラクトア
ドヘリンが重要な標的であることを示している。
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