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NF-κBの選択的阻害はin vivoで破骨細胞形成を抑制し、炎症性骨破壊を防ぐ

Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1054

骨破壊は、慢性関節リウマチや歯周炎などの慢性炎症性疾患の病理学的特徴である。このような炎症にともなう骨量減少は、骨吸収を担う破骨細胞数の増加によって生じる。遺伝子ターゲティング研究の結果から、転写因子NF-κBが破骨細胞の分化に重要な役割を果たしていることがわかっており、NF-κBの阻害は、炎症性骨吸収を防ぐ方法になると期待されている。今回、このような方法を、NF-κBに至るシグナル変換経路の重要な構成要素であるIκBキナーゼ複合体を阻害する細胞透過性ペプチドを用いて検討した。このペプチドは、RANKLによって誘導されるNF-κB活性化および破骨細胞形成をin vitroおよびin vivoで阻害した。また、このペプチドは、腫瘍壊死因子αおよびインターロイキン1βの量を減らすことにより、マウスのコラーゲン誘導性関節炎の重症度と関節腫脹を抑制し、さらに骨および軟骨の破壊も軽減した。したがってNF-κB活性化の選択的阻害は、骨吸収をともなう慢性炎症疾患を抑制する効果的な治療法となると考えられる。

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