Research Highlights

スラミンはin vitroで細胞死受容体によって誘導されるアポトーシスとマウスのアポトーシス性劇症肝損傷を阻害する

Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1049

スラミンは尿素のポリスルホン化誘導体であり、感染症の治療や化学療法剤として広く使われてきた。スラミンが増殖因子を介するシグナル伝達経路を阻害することが知られているが、アポトーシスへの影響はわかっていない。今回、我々は、スラミンが肝臓癌あるいはリンパ腫細胞で細胞死受容体を介して誘導されるアポトーシスを阻害することを明らかにする。また、スラミンは、化学療法剤のアポトーシス誘導作用も阻害する。スラミンの抗アポトーシス作用の機構は細胞型特異的であり、抗アポトーシス作用は細胞死誘導シグナル伝達複合体(DISC)の構成を変化させるのではなく、その活性の低下とイニシエーターとして働くカスパーゼ8、9および10の阻害によって起こるものである。スラミンは、in vivoモデルでも同様の影響を示す。マウスでは、CD95の刺激によって誘導されたアポトーシス性の肝損傷や腫瘍壊死因子(TNF)に由来する内毒素ショックが阻害された。しかし、肝臓移植のラットモデルでの壊死性肝損傷は阻害されなかった。したがって、肝臓におけるスラミンの抗アポトーシス作用は治療に利用できる可能性がある。

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