Letter

熱ショックタンパク質の誘導補助物質arimoclomolの投与によるALSマウスの疾患進行遅延

Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1021

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は致死的な神経変性疾患であり、脊髄および運動皮質に存在する運動ニューロンが死滅して進行性麻痺を生じる。この疾患に治療法はなく、最終的には診断から通常1〜5年以内に死に至る。ALSの特定の原因は不明であるが、家族性の症例の20%において、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ1をコードする遺伝子(SOD1)に変異がみられる。ヒトの変異型SOD1を過剰に発現するトランスジェニックマウスでは、ALS患者にきわめてよく似た表現型および病理変化がみられる。本論文では、熱ショックタンパク質(HSP)の誘導補助物質arimoclomolの投与が、93位のグリシンがアラニンに置換されている変異型SOD1SOD1G93A)を発現するマウスにおける疾患進行を有意に遅らせることを報告する。arimoclomolを投与されたSOD1G93Aマウスは、疾患の後期段階で後肢の筋機能と運動ニューロンの生存に著しい改善がみられ、寿命が22%長くなった。したがって、熱ショック応答の薬剤による活性化は、ALSやおそらく他の神経変性疾患の場合でも優れた治療法となる可能性がある。

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